サクソフォーン(Saxophone)は、サックス(sax)と呼ばれていますが、実はその名前、初めてサックスを作った人の名前だと知っていますか? サクソフォーン は、1840年頃にベルギーの楽器製作者 アドルフ・サックスが設計・開発し生み出したもので、その後氏はベルギーからパリに居を移し改善・改良を重ねていったそうです。その功績が称えられ、ベルギーのお札の顔にもなっていたことも。
メーカー名などではなく、楽器の名前(呼称)が人の名前であることはありそうで中々ないような…もし、日本人の山田さんが作っていたら「ヤマダ」という名前になっていたのでしょうか。これだけ世界中で愛される楽器になるなんて、サックスさんもさぞや驚いていることでしょう。自分の名前を楽器にしようと考えた氏の心の中や、音楽をとりまく時代背景に想像を巡らせてみるのも面白そうです。
さて前置きが長くなりましたが、2nd Community 広報です。シリーズ『EYSプロデュースオリジナル楽器STORY』。今回は EYSプロデュース オリジナルアルトサックス <Felicia>をご紹介します。 EYSプロデュースオリジナル楽器は、どれも楽器製作のプロフェッショナル達が、素材の選定から楽器の仕様、そして製作工程の一つひとつにこだわり抜いた一品です。
これから新しい楽器をはじめようと思っている方はもちろん、すでに何かの楽器を学んでいる&演奏している方も!新しい楽器を買おうとする前に、ぜひEYSプロデュースオリジナル楽器を知っていただきたいと思います。
※ソプラノ、テナーサックスもリリースしております、詳しくはこちらを御覧ください!
アルトサックスの魅力って?
アルトサックスの人気は、何といっても演奏シーンのカッコよさ!チャレンジしてみたい楽器として常に上位にランキングされているのも納得です。さらに人気を後押ししているのは、ビギナーにも挑戦しやすい、間口が広い楽器であるということです。単に、「かっこいいから」と見た目や興味だけでスタートしても、比較的すぐに音をだすことができるように。音を出すことができればモチベーションもアップ&楽しさも広がります。
またアルトサックスは、クラシック、ジャズ、ポピュラー音楽、ロック、吹奏楽などどんな「ジャンルの音楽」でも、メロディラインも伴奏も、どんな「演奏シーン」でも立ち回れるのは大きなポイントです。
一人で演奏して楽しむことはもちろんですが、EYSでは合奏やセッションなどたくさんの人と楽しむ演奏も多くのみなさんに体験していただきたいとも思っています。アルトサックスはどんなシーンにもぴったりの楽器なんですね。
EYSがオリジナルアルトサックス<Felicia>を作る理由
「なぜ作る?」EYS プロデュースオリジナル楽器
「音楽教室」のEYSが、オリジナル楽器の製作にこだわる理由は、これまでのブログでもご紹介をさせていただいた通り。少し振り返りますと、実はEYSには楽器製作販売事業部があり、オリジナル楽器の製作や、楽器の価格比較、販売サイト「オトリエ」の運営を行っています。
世の中には様々なメーカーの楽器が販売されていますが、EYSは「楽器の値段は掛け値なしの正味の価値に合っていない」と考えています。つまり、楽器本来の素材・加工技術・品質からすると、もっと安い値段で買うことができるはずということです。
では楽器の値段はどのように決まっているのか?
それには、ブランド名やアンティーク的価値、そして装飾やデザインという要素が大きく関係しています。また、販売経路によってはその間で発生する手数料等でも値段が変わります。
でも、これらの要素は楽器の本質的な価値とは関係がありません。例えば、同じ工場で作られた全く同じ楽器であれば、ブランド名が刻印されているからと言って、音や操作性は何も変わりませんよね。
EYSではこれらの要素ではなく「素材と部品」と「加工技術」こそが、楽器本来の価値であると考えています。
楽器製作販売事業部では、この品質と価格の関係を明確にし、価値に見合った適正価格で楽器を提供することを目標に、楽器製作に取り組んでいるのです。
詳しくはこちらのエレキギター誕生記事を御覧ください!↓
信頼のおける工場をとことん探す旅
ソプラノ、テナー、バリトン、バスなど様々な種類があるサックスですが、まずはEYSでは人気のアルトサックスから製作を開始しました。最初に国内のサックスに関する有識者を訪ね、彼らから話を聞いてサックス製作におけるポイントを押さえていきました。そのうえで識者たちとともに、世界中の楽器メーカーが会するフランクフルトや上海で開催された楽器市を訪問。出展ブースを周り、楽器を一つひとつ試し、製作を依頼する工場を選定していきました。
当然、価格が高すぎるものではこの試みは実現しません。適正なバランスの価格であることはもちろん、信頼に値するものづくりをしていると思われる工場を見つけては、試作品の製作を依頼、交渉を進めたのです。
EYSプロデュースオリジナル楽器はどれも、ビギナーの方にも演奏しやすく、お使いいただく方の技術が向上してからも、長く愛用いただけるスペックであることを大切にしています。 そうしたコンセプトを理解しつつ、EYSが要求するクオリティを満たす技術を持つ工場を見つけ出すことは、かなりハードな作業となりました。
数回にわたり試作品の製作依頼。ダメだしを行いながら幾度となくやり取りを行った結果、工場の製作スキルも着実に向上し、満足のいくものが上がってくるようになっていきました。まさにEYS担当者と工場担当者の両者の「良いものを作ろう」という想いのぶつかり合いでした。そうしてEYSプロデュースオリジナル楽器 <Felicia>が誕生したのです。
EYSプロデュース オリジナルアルトサックス<Alto Saxophone Felicia>の特徴をご紹介
演奏する楽しさ&人を魅了する演奏を実現!
サックスの演奏シーンは何といっても躍動感のあるカッコよさ!そんな人を魅了する演奏技術や体の動きを手に入れるためには、演奏がしやすくなければなりません。<Felicia>は、『最小限の力で効率よく演奏できる、アルトサックス』であることを最大のポイントにしています。イコールそれは、ビギナーの方に優しいということにもなります。
軽い力でも一瞬で反応するFキーをはじめ、工夫がいっぱい!
↑ 例えば、フロントのFキーは、指をスライドすることが多い場所です。ここにわずかな傾きをつけて、軽い力でも一瞬で穴をふさぐことができるように&無理なく指が運べるよう設計。
→ 同様に、Gキーに関しても、指への負担が軽くなるよう遊びを調整しました。
トーンホールは丁寧にやすりがけをしています。凹凸があるとタンポがきちんと閉まらず、音が出なくなるためです。やすりがけを施し調整しています。
また、ネックと本体の嵌合度(カンゴウド:軸と穴がはまり合っている度合い)も、音の質にかかわる大切なポイント!固すぎず、緩すぎず、絶妙な硬さになるように設計しています。
演奏スタイルのカッコよさ。つまり、魅せる演奏も意識して前面には贅沢に、手彫りによる彫刻も施しました。EYSオリジナルデザインです。
さらに音の要であるリードは、青箱として親しまれている定番のVandoren Traditional。ビギナーでも音が出しやすい 2 1/2を一箱付属しています。
いつまでも続けられる、続けたくなる、楽器でありたい
EYSプロデュースオリジナル楽器は、「無理なく演奏できるからレッスンが楽しい」→「続けられる」→「上達する」の無限ループを創出する楽器として、一人ひとりの音楽シーンを彩る存在として、いつまでも傍においてほしいと願い作られた楽器です。
実際に長く使うには、具体的にはどのようにすれば良いのでしょうか。有識者に聞きました。
上達のためにも、やはりメンテナンスは大切
毎日~週に4、5回練習する人だったら、半年~1年くらいで色々な部分に狂いが生じてくるそうです。 ある程度吹けるようになっていれば「あれ?」っと違和感を感じるそうですが、自分では分からなくても、時期が来たら点検に出すべきだといいます。
なぜなら良い音が出ないのは、演奏技術のせいではなく部品の摩耗によるものの場合があるからです。その原因を知るためにも、メンテナンスは欠かせないません。
多くの楽器店では無料で点検を行っていて、すぐに修理できなくても摩耗が進んでいる部分の確認や演奏の癖、修理のタイミングなども教えてくれるということなのでぜひ利用したいもの。定期的にメンテナンスをして良い状態を保つことが、結果として楽器を長持ちさせること&上達につながるのですね。
修理をしながら長く使う。大切に使えば、100年だって夢じゃない
メンテナンス技術者のところには、100年超の年代物のサックスが持ち込まれる、なんてことも珍しくないそうです。修理の部品がなければ自ら作る。そのための工具もあり、工房には驚くほどたくさんの『楽器のためのもの』があります。
技術者曰く、分解すれば「どんな風に吹かれて(使われて)きた楽器なのか」その歴史がわかるそうです。それを踏まえて、持ち主がその先も楽器と上手く付き合っていけるような修理を施していくのだそう。一つひとつ違うから飽きることがないとも。 目の前にある楽器に真摯に向き合い、修理を通して新たな命を吹き込んでいくのですね。
大切に使い続ければ、100年を超えて使うことができる楽器。「演奏のしやすさ」「音楽の楽しさ」「上達することの楽しさ」を考え抜いて作られたEYSプロデュースオリジナル楽器<Felicia>を、ぜひあなたの歴史の一本に加えていただけたら嬉しいです。