EYSプロデュースの楽器を製作しようとスタートしたOtolier(オトリエ)プロジェクト。楽器の種類は増え2017年3月には13楽器に。その企画立ち上げから仕掛け、運営の中心を任され、今も外部スタッフとしてEYSの事業に関わるEYS卒業生の塩崎氏に当時を語っていただきました。
■なぜ、その楽器を使うのか――「説明できる楽器」をみんなに使ってもらいたい
57種もの楽器・ヴォーカルを学べるEYS音楽教室。楽器をスタートしやすいようプレゼントする楽器はその半数以上を占めます。2016年1月にEYSプロデュース楽器第一弾がリリースされた後も、続々と準備が進められ、2017年3月には13楽器となりました。「第一弾は、生みの苦しみがありましたが、コンセプトがより明確になった第2弾以降は、フォーマットと通りに進めていくことを念頭に、とにかく行動することだけに集中しました」と塩崎氏。
まず行ったのが、中国の楽器展示会に4日間。前年は、十数人で訪れ優れた楽器・工房を探す業務を、通訳者と共にたった2人で行いました。4日間で全てを回るには、1日300社に話を聞かなければなりません。1社の工房の人と話をして手応えを感じたら、その内容に基づいて各楽器のマエストロにメールや電話で相談して判断のポイントを詰めていきます。その繰り返しで、塩崎氏は各楽器の良し悪しを決めるデータを頭の中に入れていきました。そうして得たデータを再び次の商談でアウトプットしていくことで、さらに知識を定着していき、やがて百戦錬磨の?楽器知識マシンになって、4日間を駆け巡って行ったのです。
なぜそんな荒行を!と思うのですが、それはOtolierのコンセプトにつながります。
「提示される楽器の値段は、果たして適性なのか?無駄に高くはないのか?」「ブランド名などはどの程度影響があるのか?」と、楽器には常に疑問がつきまとってしまいます。ブランド名よりも、もっと楽器そのものや、音を出す道具という品質にフォーカスし、プロデュースしていきたいと塩崎氏は思っていました。
「日本はそれまでは、初心者が楽器を買う時“ブランド名”で買う人がいても、楽器の“品質”をみて買う人はいませんでした。これからは、楽器を作る人や売る人は、ものづくりをするスタンスや、良いものを提供することに、もっともっとこだわって欲しいです。そのこだわりの部分を、なぜこの楽器なのか、クオリティはどういったものなのか、等をもっとユーザーに説明して欲しいのです。
そうすればユーザーは、『○○というメーカーだから、初心者用の楽器だから買いました』ではなく、『この楽器の素材は△△でこういった部分にこだわりがあるから買ったんだ』と言えます。“説明できる楽器”を作り、売ることが大切です。なぜならそれは、楽器を愛するが故の行動です。そういった愛される&愛しい楽器が集まっているところが、EYSのプロデュース楽器であり、OtolierのECサイトなんです」。
■13楽器が誕生。はじめての楽器を応援!!
それまで楽器について何も知らなかった人でも、語れる楽器を!とプロデュースした楽器は、第一弾のバイオリン、二胡、サックス、津軽三味線に加え、以降、クラシックギター、フラメンコギター、トランペット、トロンボーン、テナーバス、フルート、フルダブルホルン、三線、アクリルドラム、電子ドラムがEYSプロデュース楽器のプレゼント楽器として加わりました。世界を周り、楽器と出会い、製作者のこだわりや、楽器に込めるその想いを丁寧に聞き、一緒に楽器を作り上げて行くEYSの旅はこれからもずっと続いていきます。なぜその楽器を使うのか、なぜその楽器が好きなのか…EYSのプロデュース楽器は、どれもそのストーリーを語ることができる楽器なのです。