EYSがプロデュースした楽器を製作しようとスタートしたのは、より良い楽器をユーザーに届けたい。という想いから。Otolier(オトリエ)プロジェクトの中で出会ったマエストロ達と一緒に作り上げていったプロデュース楽器たちは、まずは<EYS音楽教室の楽器プレゼント>としてデビューしました。その中心スタッフの一人として関わった塩崎氏に当時を語っていただきました。
■プロデュース楽器第一弾は、ヴァイオリン、二胡、サックス、津軽三味線の4楽器
EYSがプロデュースする楽器は、第一に、初めて楽器をさわる方でも使いやすい楽器であること。第二に、上達後も末永く使い続けていけるもの、に注力しました。その第一弾としてできたのが、以下の4楽器です。(1)イタリアクレモナのヴァイオリン製作のマエストロ、フェルナンド氏プロデュースの『ヴァイオリン』、(2)中国屈指の製作者、王氏の『二胡』と王女史の手掛ける『二胡弓』、(3)管楽器リペアラーのレジェンドとして名を馳せる高橋氏がプロデュースした『サックス』、(4)半永久に使い続けていける高級素材を活かし開発された東亜楽器との『津軽三味線』。に加え、スペインバレンシアで製作される『楽器ケース』もプロデュースしました。
■ヨーロッパ、中国、そして国内へ。楽器職人の想いを届けたい
担当の塩崎氏は、ライター、カメラマンと共に、それぞれの工房を訪ねていき取材を実施しました。ユーザーには、それぞれの楽器が持つこだわりの機能を知ってもらうこと、さらに楽器を作り携わる職人たちの想いも一緒に届けたいと考えたのです。
周ったのは、イタリアのクレモナ、スペインのバレンシア、中国の北京・天津、静岡、東京など、いずれも工房とは何回にもわたり楽器の製作に関するやりとりを行った上での訪問です。既にEYSとの関係性はできており、どの工房も快く取材・撮影に応じてくださいました。
イタリアやスペインでは、モデルさんの撮影も兼ねていて大勢で訪問。スケジュールに追われてバタバタしながらの取材・撮影になりました。クレモナでは、フェルナンド氏が工房を開くきっかけとなった心あたたまるエピソードやフェルナンド氏のヴァイオリン製作のこだわりを。スペインでは、工房のみならずご自宅にもお伺いさせていただき、家族経営の団結力や素晴らしさを感じることができたのです。また、中国の上海の二胡弓職人の王女史は、まるで親しい親戚を迎えるように笑顔で歓迎してくださり弓作りのデモンストレーションやこだわりポイントを詳しく語ってくださいました。天津の王氏も、新幹線の駅までわざわざ30分以上かけて自家用車で迎えに来てくださり奥様と共に職人になるまでの類稀なるストーリーや受賞記念の貴重な多くの品を見せてくださいました。
国内では東京と金管楽器リペアラーの高橋氏の工房を訪問。先代から引き継いだ年季の入った自作のリペア道具が山ほどあり、三代目に引き継がれる長い歴史と深いこだわりを伺いました。半永久に使い続けられる新しいコンセプトの津軽三味線を開発した渡邉氏が持つ三味線作りにかける想いは、三味線の魅力を何倍にも膨らませてくれるものでした。
誰もが快く話をしてくださりその人柄に触れる中で、彼らを通じてそこに漂う空気やその土地に暮らす人々すべてが、彼らの作る楽器に宿っていました。ものをつくる、楽器をつくる素晴らしさやその楽しさを、感じさせてくれた旅でした。
■良い楽器と共に、一人ひとりのストーリーをつくってほしい!
そしてそれらの楽器の情報は、EYS音楽教室の<楽器プレゼント>の楽器情報として、パンフレットに掲載されました。楽器を買わなければ、音楽をはじめられない、それが楽器をはじめるハードルになってはいけないのです。楽器をはじめたい人々の背中を<楽器プレゼント>が押していきます。さらに既に楽器を持っている人にとっても、いつまでも使い続けることができる高品質の楽器を手に入れられると好評を得ています。
「単に新しい楽器を手に入れる、と言うのではなく、その楽器の生まれたストーリーも一緒に手にとってもらいたいですよね。『旅をするように楽器に出会う』Otolierのコンセプトをそのままユーザーに感じてもらいたいと思っていました」と塩崎氏。
これからもOtolierプロデュース楽器と共に、一人ひとりのストーリーを作っていくのでしょう。