2018年、EYSにて長い間構想段階にあったInspiartプロジェクトが正式にスタートしました。陣頭指揮を執るのは、ハードウェアエンジニアとしてシリコンバレーや日本で数々のスタートアップ企業に参加してきた九頭龍雄一郎。EYSのCSO最高戦略責任者となり活躍する九頭龍に、社長の吉岡との出会いからInspiartに関わるまでを語って頂きました。
■シリコンバレーでの出会い。そして再会
九頭龍が社長の吉岡との出会ったのは2012年。シリコンバレーで有名な日本人起業家と組み、あるプロダクトのスタートアップに関わっていた時でした。シリコンバレーに興味を抱き訪れた吉岡は、案内をしてくれた九頭龍らの話に刺激を受け海外に支社をつくることを考えはじめます。そんな二人が再会したのは4年後の2016年。たまにランチをする程度の間柄でしたが、2018年3月、吉岡はInspiartへの参加を打診し、九頭龍は参加を決めます。そのタイミングが最適でした。九頭龍の仕事が一段落し自由に動ける時期だったのです。「吉岡さんは不思議とベストタイミングでのコンタクトポイントを持っているんですよ」。不思議とベストタイミングを示唆できる…これも吉岡の一つの才能かもしれません。
■『自分はそれをやりたいか?楽しいと思うか?』という感覚を信じて
数々のスタートアップに関わってきた九頭龍だからこそ、何かをスタートする際の「選ぶ基準」は明確です。Inspiartへの参加を決めたのは、吉岡自身が経営者としてフェアで正直、忖度なくきっぱりしたところがやりやすいと感じたからというほかに、Inspiartが「世の中に比肩するものがないような高い技術力」と、「社会に必要とされる技術」の双方を“生み出す”プロジェクトだと思えたから。もちろん実現に導くことは簡単ではありません。がEYSの核には、九頭龍自らも愛する『音楽』があり、一緒に進めるメンバーが魅力的だったという事実がありました。「自分が本当に人を幸せにする領域を、一緒にいると楽しいと思える人とやりたい!」その条件を満たしていたのが、EYSだったのです。
■ブロックチェーン、AI、楽譜作成・表示のライブラリ開発へ
まず行ったのがInspiart事業の方向性の決定です。構想段階が長かったこともありEYSの音楽教育事業に沿って進めていくものと思われましたが、九頭龍の結論は違いました。もちろんゆくゆくは音楽事業との整合性を考えるとした上で、「まずは、世の中に肩を並べるものがないような優れた技術を生み出すことを目指します。その技術は、『ブロックチェーン』『AI』、そして『楽譜作成・表示のための標準ライブラリ』の3つです」。世の中に役立つ優れた技術――確かに楽譜がスマートフォンやタブレットで見られるだけでなく、勝手に改行やページめくりをしてくれたら…と思うとワクワクします。社会をワクワクさせるような技術を生み出す!そこからInspiartプロジェクトはスタートしていきました。
■事業は生き物——CSO最高戦略責任者としての矜持
一方で、事業を進める時、最大のリスクと感じているのが『人材』だといいます。革新的なアイデアや発想があっても、それを動かし作り上げていける技術と人材がいなければ絵に描いた餅です。EYSでは、長期的な計画に基づいた社員を、焦らずに慎重に採用しています。EYSモンゴル拠点には数学・物理オリンピックのメダリスト級のエンジニアも。そんな彼らに望んでいるのは、『思い切りチャレンジする』ということ。自分で考え選び挑戦したことは、たとえ失敗したとしても自分の血肉になる、リスクは自らテイクして良いのです。それをマネージしていくのが経営側なのですから」。
時には彼らと想いの全てをぶつけ合うこともある、しかしそれで関係性が悪くなることはありません。常にフェアネスで正直であろうとする関係性がそこにはあるからだと、九頭龍はいいます。
「事業は生き物です。技術を追い求める中で、最初に描いていた景色とは変わっていくこともあるかもしれません。けれど、そのエッセンスだけは、外れないように、引き継いでいけるように、進めていくことが私の仕事です」。九頭龍率いるInspiartプロジェクトがどのように展開し、どこに着地し、その先にどんな未来を見せてくれるのか…今から楽しみで仕方がありません。